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更地
更地とは、以下の3つの条件を全て満たした土地のことです。土地の価格を表す公示価格や基準地価は更地を前提とした基準となっています。
- ・建物等の定着物がない
- ・借地権や地役権などの私法上の権利が付いていない(抵当権や建築基準法、都市計画法など公法上の制約はあってもよい)
- ・購入後すぐに建築できる状態になっている
更地は、鑑定評価における不動産の類型のうち、宅地に分類されます。
耕作されていない農地、樹木のない山林、建物がない借地、土地の利用を制限する権利が登記されている土地などは更地とはいいません。実際の不動産市場では、完全な更地状態の売地はほとんどないといってもいいでしょう。
もともと住宅が建っていた土地を更地にすると、住宅用地の特例が適用されなくなり、多くの場合翌年から固定資産税が大幅に上がるため、注意が必要です。
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市街化区域
市街化区域とは、都道府県が都市計画区域の中で定めた、既に市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に市街化を図るべきと判断された区域のことです。道路や公園、下水道など公共施設の整備が優先的に行われます。
都市計画区域には、市街化区域のほかに「市街化調整区域」、「区域区分が定められていない都市計画区域」(非線引き区域)がありますが、一般的に住宅用の土地として売買されるのは市街化区域です。
市街化区域では、用途地域(土地利用を規制することによって良好な都市環境の市街地を形成するための地域)が定められており、その種類によって建築できる建物の用途が決まっています。
用途地域は住居系7、商業系2、工業系3、の計12地域に分類され、それぞれ建ぺい率・容積率・高さなどに制限があります。工業専用地域以外では一般住宅を建ててもよいことになっています。分類は以下の通りです。
- 住居系…主に住居をつくるのに適した地域
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 商業系…商店を建てることができる地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 工業系…工場をつくることができる地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
市街化調整区域
市街化調整区域とは、都道府県が都市計画区域の中で定めた市街化を抑制する区域のことです。無秩序な市街化を防止するために、都市計画法によって市街化区域(すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的、計画的に市街化を図るべき区域)と市街化調整区域とに区分されています。市街化区域でも市街化調整区域でもない都市計画区域を「区域区分が定められていない都市計画区域」(一般には非線引き区域)といいます。
市街化調整区域は、国土のおよそ10%を占めています。この区域では原則として都市施設の整備は行われず、開発行為も抑制されます。多くの場合、建築物の密度が低く、農地が広がっているような地域が指定されます。ただし、公的な施設や農林水産業の建物など、市街化調整区域で建築することがやむをえない一定の建物については、建築可能です。
市街化調整区域で建築を行うには、都市計画法による許可が必要となります。以前は法律適用前から住宅が建っていた宅地(既存宅地)などでは、都市計画法による許可がなくても新築や増築などが認められていましたが、平成13年の都市計画法改正により、法律適用前から住宅が建っていたような土地でも、都市計画法の許可がなければ新たに建築を行うことはできなくなりました。
修繕積立金
修繕積立金とは、主にマンション等の共同住宅において、数年から数十年に一度の大規模な修繕に備えて毎月管理組合に対して払い込まなければならないお金のことです。修繕の実施や積立金の管理・運営は管理組合もしくは管理組合の委託を受けた管理会社が行います。
共同住宅では、建物の老朽化や劣化などにともない、外壁の塗り替えや配管、屋上の防水工事など、大規模な修繕を行う必要があります。しかし、共同住宅は建物が大きいだけに、1戸辺りが支払う金額は莫大なものになりかねません。区分所有者はそれぞれ経済状況も異なりますし、全員から修繕費を一括徴収するのは困難です。そこで、「毎月一定額を集めて、管理組合が積み立てておこう」というのが修繕積立金の考え方です。ただし、金額が少ない小規模な補修などについては、修繕積立金とともに支払う管理費で賄うケースもあります。
修繕積立金は、まずマンション全体の修繕にかかる費用を計算し、その費用を、各住戸の専有面積の割合で分担します。このため、住戸の専有面積が広いほど支払う額は大きくなります。
住宅借入金特別控除
住宅借入金特別控除とは、所得税の税額控除の1つです。一般的には住宅ローン控除などと呼ばれ、住宅ローンを有する場合、年末の借入金残高に応じて一定額を所得税から控除するというものです。ローンの年末残高を計算し、合計額の1%程度が所得税から控除されます。ただし、どのような場合でも住宅借入金特別控除が適用されるというわけではなく、「控除を受ける年の所得金額が3,000万円以下であること」、「取得した住宅の登記簿面積が50㎡以上であること」、「取得した住宅の床面積の1/2以上を自宅として使用していること」などの条件を満たしている場合にのみ適用を受けることができます。また、住宅借入金特別控除を受けることができる年数は最長で10年とされており、所得税から控除される金額の最高額なども定められています。
住宅保証機構
住宅保証機構とは、消費者の保護、住宅の品質や性能の向上、建設業者等の健全育成などを実現するために、4つの住宅保証制度を運営している財団法人です。1982年に住宅関係団体、損害保険会社、金融機関などの協力により「財団法人性能保証住宅登録機構」として設立され、1999年に現在の名称に変更となりました。
住宅保証機構が運営する住宅保証制度は以下の通りです。
- ・住宅完成保証制度
- 住宅建設工事を受注した建設業者が倒産等により工事を継続できなくなった場合など、損失した前払い金や必要な工事費用を、契約の範囲内において保証する制度。
- ・既存住宅保証制度
- 既存住宅(いわゆる中古住宅)を売買する際に、雨漏りや住宅の傾きなど、住宅の基本構造部分について修補費用の大部分を最長5年間カバーする制度。
- ・住宅性能保証制度
- 住宅品質確保促進法が定めた新築住宅につける10年間の保証を、適正・確実に履行することができるように第三者による現場審査を行い、保険等によりバックアップする制度。
- ・地盤保証制度
- 住宅性能保証制度とのセットで利用され、地盤調査や補強工事を原因とする住宅の不同沈下などの事故が発生した際に、その再発を防ぐために必要な工事等の費用を保証する制度。
所有権
所有権とは、法令の制限内で物の使用や収益、処分を自由に行うことができる権利のことを指します。私的財産制を基礎としている資本主義社会においては、もっとも基本的な権利の一つです。
所有権では「物の所有者は原則として自由な意思によって所有権を用い、他者の干渉をまったく受けない」とされています。また、時効によって消滅することもありません。しかし、一方で「所有権は義務を負う」という考えもあり、日本においては憲法の第29条第2項などによって、「公共の福祉」のために所有権に多くの制限がかけられています。
所有権の中でも土地所有権(敷地所有権)は、「その土地を所有する権利のこと」を指します。一般的な物の所有権と同じように、法令の制限内でなら所有者が自由に使用・収益・処分を行うことができます。売却や贈与、相続なども自由です。
ただし、所有権を持っていても、隣接する土地との関係や都市計画などの公共の必要・公衆衛生などによって、制限を受けたり権利の拡張が行われたりすることがあります。
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相続税
相続税とは、相続や遺言による贈与である「遺贈」によって取得した財産に対して課税される税金のことです。相続税法(昭和25年3月31日法律第73号)によって規定されており、国によって徴収される国税の1つに分類されます。
相続税の納税義務者は、財産を取得した相続人です。相続税の課税対象と見なされるものは、動産、不動産のほか、特許権や著作権などの無体財産権や債権なども含まれます。相続税の課税率は、相続などによって取得した財産に対して10%から70%までの範囲で、累進式で定められます。相続税は、原則として金銭によって納付されますが、所管の税務署が認めれば物納や年賦延納も可能です。
相続税の納付義務者となる相続人は、財産を与える故人との関係によって定められており、以下の種類があります。
- 1. 戸籍上で婚姻している妻や夫である配偶者
- 2. 実子、養子、胎児を含めた子供
- 3. 子供が死亡している場合には孫
- 4. 配偶者や子供、孫がいない場合には親
- 5. 配偶者、子供、孫、親がいない場合には兄弟
- 6. 1から6以外の者で、遺言によって財産を与えられる者。
贈与税
贈与税とは、個人から贈与された財産に対して課税される税金のことです。国によって徴収される国税の1つに分類されます。贈与税において、「贈与」とは無償で個人に財産を与えることで、贈与税の納税義務者は贈与を受けた者ということになります。贈与税には、基礎控除が年間110万円あるため、年間110万円までの贈与は贈与税の課税対象にはなりません。また、住宅取得の目的に限り、親からの贈与であることなどの条件で、複数年数分の贈与を受けても贈与税が非課税となることがあります。
贈与税の課税率は、贈与された財産の110万円を超える部分に対して、最低の10%から贈与される財産が高額になればなるほど課税率が上がる累進式となっています。贈与税は、毎年1月1日から12月31日までの贈与分を翌年の3月15日までに申告して納付します。なお、法人から個人への贈与については、贈与税ではなく所得税が適用されます。
贈与税の目的の1つが、財産の生前贈与によって相続税が回避されることを防止することで、贈与税は相続税の補完的な性質を持つといわれています。そのため、贈与税は一般的に相続税よりも高率の課税が行なわれることになります。